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2024.10.10
高性能住宅は乾燥する?【設計お役立ち情報 Vol.25】
高性能な家に住みたいとお考えの方の中には、乾燥に対して不安がある方もいらっしゃるかと思います。
実際に高気密高断熱の家は、家が暖かいので乾燥しやすいといわれています。
湿度には「絶対湿度」と「相対湿度」という2つの指標があります。
• 絶対湿度: 空気中に含まれる水蒸気の量を g/㎥ で表したもの。
• 相対湿度: その温度で空気が保持できる最大の水蒸気量に対する、実際の水蒸気量の割合を % で示したもの。
冬場の乾燥を考えるときは空気中の水分量に焦点を当てて考えます。
例えば夏場
30℃の気温の場合、飽和水蒸気量(保持できる水の量)は30.4g/㎥です。
相対湿度が70%とすると、空気の持っている水分量は21.28g/㎥となります。
対して冬場
10℃の気温の場合、飽和水蒸気量は9.4g/㎥です。
相対湿度が50%とすると、空気の持っている水分量は4.7g/㎥となります。
つまり、夏(21.28)と冬(4.7)で空気の持っている水分量が4.5倍も違うということですね。
ですから冬場は人間の体から水分が外に出ようとして乾燥を感じるわけです。
では、なぜ現代の家は乾燥しやすいといわれるのか?
「エアコンや暖房を使うと家の中が乾燥する」という話をよく耳にしますが、昔の家ではどうだったでしょうか?
まずはライフスタイルの違いがあります。
昔は親子孫3世帯で同居するのも当たり前でしたが、今では1世帯ずつ住むことが当たり前になってきましたよね。
そうすると家にいる人の数が少なくなるので、料理の煮炊きや洗濯、お風呂の回数も減り、乾燥しやすくなっています。
また、昔の住宅は、家全体が今よりも寒かったことが多く、暖房器具としては石油ストーブが主流でした。
石油ストーブは燃焼の際に水蒸気を発生させるため、自然に湿度を補ってくれていました。
さらに、ストーブの上にヤカンを置いて蒸気を出すことで、室内の乾燥を防いでいましたよね。
一方、現代の住宅ではエアコンや電気ヒーターで暖房を行うため、水蒸気を発生せず、空気が乾燥しやすいという特徴があります。
高断熱・高気密が当たり前になり、外気との換気もしっかり行うため、空気は新鮮になるのですが、より一層乾燥が目立つようになりました。
このように、現代の住まいでは、暖房による快適な温度を保ちながらも湿度管理が不可欠です。
次回は、加湿器の選び方や湿度管理の方法についても触れてみたいと思います。
松村