カテゴリで絞り込む
2024.09.19
窓の日射取得と日射遮蔽【設計お役立ち情報 Vol.11】
窓の設計は建物の快適さに大きな影響を与え、季節ごとの太陽の動きとも深く関係しています。
私たちが暮らす日本では、冬、春秋、夏の3つの季節の変化があります。
これは地球が太陽の周りを回る軌道や、地軸が傾いていることが関係していますね。
例えば、冬の太陽は東より南寄りから昇り、南中時の高さは約35度までしか上がりません。
逆に、夏の太陽は東より北側から昇り、南中時には80度近くの高さまで上がります。
このように、季節によって太陽の動きが大きく変わるため、窓から入る日射量も異なります。
そこで、窓の設置個所に合わせて、ガラス種類を変えることで日射熱の取得量を調整するようにしています。
窓ガラスには「日射取得型」と「日射遮蔽型」の2種類があります。
参考にSANKOがいつも使用しているエクセルシャノンNS50での比較です。
〇 日射取得型 : 日射遮蔽型
可視光透過率(明るさ) 68.9% : 55.5%
日射熱取得率(温かさ) 46% : 32%
紫外線カット率 89.6% : 95.3%
季節によって異なる太陽高度に合わせて、
南面の窓は「日射取得型」、東西面の窓は「日射遮蔽型」が基本の考え方になります。
南面は夏場の太陽高度が高いので、庇や軒を設けることである程度の直射日光を遮ることが出来ます。
そのため、「日射取得型」とすることで冬場には温かい日射をしっかり取り込むようにします。
ただし、2階の窓については、オーバーヒート対策で「日射遮蔽型」にすることが多いです。
1階の窓は後からでも、よしずやすだれ、タープ等で簡単に遮蔽が出来ますが、2階の窓には難しい場合にそのようにしています。
東西面は、朝日や夕日が低い角度で室内へ入射するため、夏場は家を過剰に暑くする原因となります。
そのため、「日射遮蔽型」とします。
北面は、部屋が暗くならないように、可視光透過率の高い「日射取得型」の窓を採用するようにします。
但し、建物が東西方向のどちらかに方位を振って配置される場合は、北面の窓(真北ではない)から強い日射が入るケースもあるため、慎重に検討する必要があります。
設計時からこのよう考えで対応していますが、
住み始めてからも、太陽の日射を意識し、対策をすることでより快適な家になっていきますよ。
松村