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家づくりコラム

2024.11.04

家相について【設計お役立ち情報 Vol.43】

家を建てるとき、多くの方が「家相」について一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

特に「鬼門」と「裏鬼門」という言葉は、玄関や水回りの配置を決める際に話題に上がることが多いものです。

普段、設計する際に意識することはないのですが、今回は家相について少しお伝えしたいと思います。

 

 

 

一般に北東方向を鬼門、南西方向を裏鬼門といって、玄関やキッチン、トイレやお風呂などの水回りがあることが凶で、家の運気が下がると言われています。
もともとは古代の中国で生まれたものが日本に伝わったとされています。

 

科学的根拠のないものとも思われますが、昔から家相に基づいて家が建てられてきたことを考えると、日本の風土の中で住みやすい家を作るにはどうしたら良いか、何に気をつけたら良いか、長年の経験が蓄積されたモノが家相だとみることもできます。

 

 

例えば、
台所に西日が差すと食材が傷みやすかったり、日の当たらない北側に水回りがあると湿気が多くカビの原因になったりします。

昔は建築基準法もなく、間取りの作り方も指南書のようなものはなかったため、この家相は重宝されたのでしょうか。

 

 

 

しかし、今は当時とは建築技術も材料も違います。

当時の水回りのつくりでは、料理場、五右衛門風呂や厠(トイレ)は家の外に設けられていました。

料理場が室内にある場合でも、基本的には外部と繋がる場所で床を土間(土)とされ、雨風や夏の暑さ、湿気、冬の乾燥など外部の影響を大きく受け入れる建築でした。

現在では断熱材や空調機器、サッシ、防水シート等を用いて、室内が外部の影響を極力受けない作りになっています。

ですので、家相における方角の意味合いは、現代の家において薄れつつあると思います。

 

 

また、150~200坪以上の大きな敷地に家を建てるのであれば家相を考慮して、住まいやすい建築も可能でした。
しかし、現在は多くの建築用敷地が50坪程であるため、日当たりの良い南側にLDKを持ってくると、水回りが北側に来ることは、家相を守るよりも自然だと思います。

 

 

 

必要に応じて、玄関の位置や水回りだけでも鬼門から外すことはありますが、家相のすべてを満たすのは現実的にも難しいですし、昔とは敷地の大きさから家の作りも違っています。

家相で間取りの事を思い悩まれている方が少しでも多くの選択肢を選べるようになればと思います。

 

 

松村