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家づくりコラム

2024.09.30

「耐震」・「制振」・「免震」について【設計お役立ち情報 Vol.20】

 

建物の地震対策として「耐震」・「制振」・「免震」と3種類ありますが、お客様からもどれが良いのですかと聞かれることが最近増えてきました。

 

今回はこれらの違いについて説明します。

 

 

耐震:建物自体の強さで地震に備える
「耐震」とは、家自体の構造を強化することで地震による倒壊を防ぐ方法です。
具体的には、柱や壁、土台、筋交いなどを配置し、地震の揺れに対抗できるよう建物を頑丈にすることを指します。
木造住宅においては、この「耐震」が最も重要な地震対策です。
建物が地震や台風などの外力に対して変形しないためには、十分な強度が必要です。
許容応力度計算や性能表示計算を用いて耐震等級3の計算を行い、筋交いや耐力面材を適切に配置して、建物の剛性を確保しましょう。

 

 

制震:揺れを吸収し建物のダメージを軽減
次に「制震」です。
制震は、建物にダンパーなどの制震装置を取り付け、地震の揺れを吸収することで建物へのダメージを軽減する仕組みです。
耐震とは異なり、制震は地震が発生し建物が変形をし始めてからその効果を発揮します。
揺れ幅を小さくすることで、建物の損傷や変形を抑える役割があります。
ただし、制震だけでは家が完全に無傷であるとは限りません。
大きな地震の場合、建物の歪みが発生し、気密性や断熱性が損なわれたり、ドアや窓が開かなくなってしまい住める状態でなくなる場合もあります。
そのため、制震は「耐震」の補完的な役割として考えるべきです。
まずは耐震等級3を目指し、建物の基本的な強さを確保することが大切です。

 

 

免震:地震の揺れを建物に伝えない
最後に「免震」についてです。免震は、建物と地面の間にローラーやゴムなどの免震装置を設置し、地面の揺れを建物に伝えないようにする方法です。これは、地震自体のエネルギーを建物に届かせないため、揺れを大幅に抑えることができます。特に高層建築や重要な施設などに採用されることが多いです。
木造住宅は建築の中では小規模な建築になりますし、免振装置は費用的にも現実的でないのでほとんど採用されていません。

 

 

 

 

木造住宅でまず大切にすべきなのは「耐震」です。
建物の剛性をしっかり確保し、地震に対して倒壊しない家を作ることが基本となります。
そのため、耐震等級3を目指してください。

 

 

最近ではダンパーの制震装置に過度な期待を寄せてしまう方も中にはいらっしゃいます。
しかし、「耐震等級3はないけど制震装置があるから安心」という考え方は誤りです。
まずは耐震性能をしっかりと高め、予算に余裕があれば制震装置を補助的な役割として採用するというので良いと思います。

 

松村